NAN 株式会社日本アセットナビゲーション

会員登録をされた方、弊社セミナー・個別相談時に会員登録いただいた方はNAN物件情報を含む全てのコラムをご覧いただけます。(入会費、年会費はかかりません)

※パスワードをお忘れの方はこちら

登録

image
SCROLL

4月1日よりスタートの「相続登記の義務化」、改正の背景と概要をおさらい/楽待

2024/04/08 不動産投資

image

4月1日より、「相続登記の義務化」が始まった

相続登記義務化の概要と背景、不動産投資に与える影響について解説

 

PHOTO:jinf / PIXTA

 

 

本日4月1日より、「相続登記の義務化」が始まった。相続が発生して親などから譲り受ける不動産について、登記することが義務化される。

 

話題としては認識していても、詳しい内容についてはよく知らないという人もいるのではないだろうか。

 

今回は、大手不動産会社でトップセールスの経験を持ち、経営コンサルタントで行政書士YouTuberとしても活躍する棚田健大郎氏に、相続登記義務化の概要と背景、不動産投資に与える影響について解説してもらった。

 

 

 

相続登記、なぜ「義務化」?

 

相続登記の義務化とは、いったいどんなルールなのでしょうか。

 

それを紐解く上で、ヒントになる宅地建物取引士資格(宅建)試験の過去問題があります。

 

 

この問題の答えは、当時の法律ではバツ「だった」のです。

 

登記名義人の氏名または住所についての変更の登記は、権利に関する登記の一種のため、登記する義務はありません。もちろん、1カ月以内というような期間制限もありません。

 

これが改正前のルールでした。

 

例えば、相続した土地を売却する場合は、所有権移転登記をした上でなければ売れないため登記することになりますが、それ以外のケースでは登記を忘れがちになることが多いのが実情でした。

 

そもそも所有権の登記は、自分自身の権利を他人に主張して示すために行うもの、つまり自分自身のためにするものです。法的に義務化されている手続きではありませんでした。

 

そのため、相続した相続人が相続登記をしなくても、一切の罰則規定はありませんでした。

 

ところが、この弊害として、今日本が大変なことになっています。「所有者不明土地」の激増です。

 

国交省が2016年に実施した地籍調査(約62万筆の土地の調査)によると、登記簿から所有者がわからなかった土地が全体の約20%もあったそうなんです。

 

 

 

要するに、途中から登記情報が更新されていないのです。

 

なぜ所有者不明の土地がそんなにも存在するのか。原因を調べると、所有者不明の土地のうち、3分の2は相続登記の未完了、3分の1は住所変更登記の未完了だったことがわかりました。

 

このことから、登記が義務化されていないことで放置されているというのは明らかでしょう。

 

さらに法務省が2017年に行った調査では、大都市以外の地域で、調査を行った土地のうち25%以上が最後の登記から50年以上経過していたことがわかりました。

 

 

出典:法務省「不動産登記簿における相続登記未了⼟地調査について」 ※割合は累計値

 

 

登記が放置されると、土地の所有者を探すことは非常に困難になります。登記上の所有者が亡くなった人の名前のままでは、現在の所有者を探すのに相続人を1人ずつ追って行くことになるので途方もない作業になります。

 

所有者不明の土地が増えるとどうなるのか、それは土地活用不能状態です。

 

その土地を取得して有効活用したいという人が現れた際に、すべての相続人を探し出して全員から同意を取り付けなければならないのです。

 

適切な登記がされていない状態を長期間放置すると、相続人がすでに死亡していることもあり、ねずみ算的にどんどん相続人が増えていくことになります。

 

そうなれば、事実上、土地活用は不可能になってしまいます。面積の小さい日本にとっては死活問題です。

 

また、土地の所有者がわからないと、不法投棄などが発生した時に対応する人が誰なのかわからないといった問題も出てきます。とにかく百害あって一利なしです。

 

そこで、相続登記が義務化されることになったのです。

 

 

住所変更登記も義務化

 

相続登記義務化の具体的な内容は以下の通りです。

 

 

また、相続登記に限らず、登記全体についても改正されます。

 

これまで「任意」だった内容が、2026年4月より以下のように義務化されるのです。

 

 

このように、適切に登記をしないとペナルティが課されるようになりました。抑えておくべきなのは、住所変更登記も義務化の対象であるということです。

 

これまで、住所変更登記をすると、不動産会社が謄本を取得して営業をかけてくるから登記しない方がいい、という声もありました。しかし、今後は住所を移転したら登記も変更しないと罰金となるのです。

 

では、相続登記の義務化(2024年4月1日)以前に相続した不動産はどうなるのでしょうか。

 

実はこれについても、相続登記が完了していない場合、改正法の施行日から3年以内に相続登記をしなければならないとされています。

 

また、氏名・住所などの変更手続きに関しても、改正法の施行日(2026年4月1日)から2年以内に行わなければいけません。

 

例えば、引越し後に変更登記していないという人は、すぐに対応が必要だということになります。

 

 

 

相続人申告登記制度とは

 

そして、今回「相続人申告登記制度」も新設されています。これは、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から設けられた制度です。

 

相続登記の障害となるのが遺産分割協議です。というのも、遺産分割の話し合いが難航することは少なくなく、そのために定められた期間内に登記できない可能性が考えられます。

 

そこで今回新設されたのが、相続人申告登記制度です。

 

 

申出を受けた登記官は、所要の審査をした上で、申出をした相続人の氏名・住所等を職権で登記に付記します。

 

これにより、登記簿を見ることで相続人の氏名・住所を容易に把握することが可能になるのです。

 

相続人が複数存在する場合でも、特定の相続人が単独で申出が可能です(他の相続人の分も含めた代理申出も可能です)。

 

なお、この制度において法定相続人の範囲及び法定相続分の割合の確定は不要です。

 

添付書面としては、申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることがわかる当該相続人の戸籍謄本を提出することで足ります。これにより資料収集の負担が軽減されます。

 

 

 

悪質不動産会社からの営業に注意!

 

ではこれらのルールがスタートすることで、不動産業界にはどんな影響があるのでしょうか。

 

一般的に言われているのは、所有者の確認が用意になることで、不動産の流通が促進されたり、土地活用が進みやすくなったりといったメリットです。

 

 

しかし個人的には、「営業の激化」がとても気がかりです。

 

というのも、今回の改正により、現在相続登記が完了していない物件や住所変更登記がされていなかった物件も、一斉に登記申請がされることになるでしょう。

 

これは、今まで知られていなかった不動産の所有者情報が不動産会社に渡ることを意味します。

 

不動産会社は、登記簿を取得することで所有者の居場所を突き止め、場合よってはアポイントを取らずに自宅まで営業に来るケースもあります。

 

特に不動産売買の現場では、所有者不明のため交渉に進めない物件が市場に多く存在します。もちろん狙っている不動産会社は1社ではありません。

 

変更登記や相続登記がされると、その所有者に向けて営業が殺到する可能性が予想されるということです。

 

一方で、不動産取引が活性化されるのは良いことではないか、と思う人もいるかもしれません。確かにその側面もありますが、私が危惧しているのは悪質な不動産会社による悪質な営業が増える可能性です。

 

 

現在も、高齢の所有者の自宅に突撃訪問して、なかば強引に買取交渉をまとめてしまうケースをよく耳にします。

 

相続登記や住所変更登記などが義務化され、今まで知られていなかった所有者の居場所が知れ渡ることで、このような営業が増えてしまうかもしれません。

 

悪質な営業をかけられ、相場よりも低い金額で買い取られたり、そもそも売りたくない物件を手放すことになったりするケースが懸念されます。

 

そのため、登記をすることで不動産会社から営業が殺到する可能性がある旨を、登記申請人などに対して注意喚起を促すといった対策が必要なのではないでしょうか。

 

 

相続登記の義務化によって、国として抱える大きな問題に改善の兆しが見られるかもしれない。新たに罰則規定も設けられ、「知らなかった」では済まされない状況になった。

 

不動産オーナーとしても、相続人としても、今回の改正は他人事ではない。制度の内容を正しく把握し、適切な登記を行うよう気をつけなくてはならない。

 

 

(楽待新聞編集部)

 

 

 

 

 

引用元:【4月1日よりスタートの「相続登記の義務化」、改正の背景と概要をおさらい |楽待不動産投資新聞 (rakumachi.jp)

 

 

 

弊社のご案内している不動産投資とは?

まずはお気軽にお問い合わせください。

(お申込みの際は「資料請求」にチェックを入れお問い合わせください。資料はメールで送付いたします)

31